表紙の錦絵は当店所蔵の『安東広重』による「浄る理町繁花の図」で御座います。
図中の左上は味付けされた油揚げに、味付けした豆腐殻を入れ、一切「四文」で「志の多巻」として商いをしている所です。天保の大飢饉が過ぎ天保末年頃油揚げを袋形にして椎茸、干瓢を刻み、飯に混ぜ、「稲荷ずし」として屋台で売り出されたとされています。この図は「稲荷ずし」の原点が表現されています。

(『守貞謾稿』より)

三代目店主敬白